PCD工具の活用法にも大きく関係する耐摩耗性と切削工具のダイヤモンドの種類
PCD工具はパーツ、治具などの様々なものの製造工程で活用されています。しかし、その仕組みについてご存知でない方も多いのではないでしょうか。ここでは強度が極めて高く、超硬合金の加工などにも用いられるPCDに関連する知識として、「耐摩耗性に影響する要因」と「切削工具に使われるダイヤモンドの種類」について解説します。
耐摩耗性に影響する要因
金属をはじめとした素材の性質の1つとして挙げられるのが耐摩耗性です。ここでは素材の耐久性などにも大きく関係する耐摩耗性の特徴や定義、PCDとの関係、および影響を与える要因について解説します。
耐摩耗性とは?
金属の損傷の仕方の1つとして挙げられる摩耗は、同じ動きを繰り返す機械などが金属の表面を継続的にひっかくことで生じる損耗現象と定義できます。摩耗現象に抗う働きが金属にあり、それが耐摩耗性です。
耐摩耗性は金属の強度を示す性質の1つで、金属の種類によってその程度は異なります。したがって、金属加工を行う際には種類ごとの耐摩耗性を考慮した加工方法が用いられるのです。
PCDと耐摩耗性の関係
PCDとは工具に使われる材質の一種です。PCD工具の金属に接触する箇所には人工鉱物が埋め込まれており、その箇所が回転などの動きをすることで金属の加工ができます。
このようなPCDを利用した金属の加工を行う際には、対象となる金属の耐摩耗性を考慮することが必要です。例えば超硬合金は耐摩耗性も高いことから、その加工時には相応の高い性能を持つPCDを使用する必要があります。
耐摩耗性に影響する要因
・硬さ
基本的に硬いものほど耐摩耗性は高くなります。上述した超硬合金はその好例の1つで、40HRC以上のものは耐摩耗性が非常に高いのです。
・組織
耐摩耗性は組織の性質によっても変化します。例えば、鉄と炭素が結合して生成されるマルテンサイトは耐摩耗性の向上に大きく寄与することから、そのための焼き入れ作業が鋼材などに対して行われることも珍しくありません。
・成分
耐摩耗性は成分によっても変化します。鋼材の場合は特に炭素量が多いものほど耐摩耗性が高くなります。焼き入れ作業が行われるのは、このためでもあるのです。
切削工具に使われるダイヤモンドの種類
切削工具には人工鉱石が埋め込まれており、それによって高い切削能力が得られる仕組みになっています。切削工具の一種であるPCDには人工のダイヤモンドが使用されていることから、耐摩耗性の極めて高い金属を加工するのにも適しているのです。続いては、そんな切削工具に使われているダイヤモンドの種類について解説します。
大きく2種類に大別される
PCDをはじめとする切削工具に使用されるのは以下の2種類です。
・単結晶ダイヤモンド
1つの結晶のみでできているものを単結晶ダイヤモンドといいます。天然のダイヤモンドの多くはこの単結晶ダイヤモンドですが、切削工具に使用されているのは天然のものではなく、多くは合成品です。
単結晶ダイヤモンドには、力の加わる向きによっては割れやすいという難点があるものの、鋭利な刃先の形成などの作業には最適です。
・多結晶ダイヤモンド
小さな結晶を結合させて作られたものになります。各々の結晶の向きが異なることから、多結晶ダイヤモンドは強度が非常に高いのです。単結晶よりも欠けにくく、多種多様な切削工具に使用されています。
一方で多結晶ダイヤモンドは成形が難しいというデメリットもあり、加工時には化学反応などを応用しなければなりません。
欠点もある
単結晶・多結晶のいずれのダイヤモンドを使用した切削工具にも欠点があります。例えば、炭素を主成分とするダイヤモンドは鉄との親和性が高く、鉄を加工する際に熱の発生に伴って炭素が鉄に吸収されてしまいます。これにより、工具の故障や加工における対象物の異常摩耗が発生してしまうことがあり、注意しなければなりません。
切削工具を使用した治具や金属パーツの加工もお任せください!
金属には耐摩耗性が備わっており、その性質は硬さや成分、組織などの要因によって変化します。PCDを使用した金属の加工においては、この耐摩耗性についても十分に考慮しなければなりません。
また、切削工具にはダイヤモンドが使用されているものも多く、その種類は単結晶ダイヤモンドと多結晶ダイヤモンドに分けることができます。切削工具を利用する場合、使用されているダイヤモンドの種類を確認することも忘れないようにしましょう。精密加工はプロテクノ堺までご相談ください。
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